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昨年の夏、家族で諏訪大社の四社まいりをしてきました。
面白かったのが、子どもの受け止め方です。「4つ全部まわる」というルールが、そのままゲームの攻略みたいに映ったらしく、朝から妙にやる気がありました。私と妻はもちろん純粋に参拝のつもりでしたが、結果的にこの「攻略モード」のおかげで、ぐずることもなく一日で四社を回りきることができました。40代会社員のはるたろうが、実際に回った順番と各社の印象をお伝えします。
諏訪大社とは|全国2万5千社の総本社
長野県の諏訪湖をはさんで四つのお宮が鎮座する神社です。全国に約25,000社あるとされる諏訪神社の総本社であり、信濃國一之宮にあたります。
| 区分 | お宮 | 場所 |
|---|---|---|
| 上社 | 本宮(ほんみや) | 諏訪湖の南側 |
| 上社 | 前宮(まえみや) | 諏訪湖の南側 |
| 下社 | 秋宮(あきみや) | 諏訪湖の北側 |
| 下社 | 春宮(はるみや) | 諏訪湖の北側 |
「二社四宮(にしゃよんみや)」という言い方をします。上社と下社は諏訪湖を挟んで反対側にあるので、車での移動が前提になります。
御柱|社殿の四隅に立つ木の柱
四社それぞれの社殿の四隅に、大きな木の柱が立っています。これが御柱(おんばしら)です。
6年に一度、この柱を建て替えるのが、あの有名な御柱祭。テレビで見る「木に人が乗って坂を下る」あの映像の柱が、四社すべてに4本ずつ立っています。
これを知ってから境内を歩くと、「あ、ここにも柱がある」と探すのが楽しくなります。子どもと一緒に回るなら、四社×4本=16本を探すゲームにしてしまうのがおすすめです。実際、我が家はそれで盛り上がりました。
諏訪造り|本殿を持たない神社
もうひとつ大きな特徴があります。諏訪大社には、基本的に「本殿」がありません。
神様が宿るとされる建物を持たず、山や木そのものを御神体とする——これを諏訪造りといいます。古い時代の神社は社殿を持たなかったとも言われ、その形をいまに伝えているわけです。
⚠️ ただし例外があります。四社のうち、前宮だけは本殿を持っています。このことは、実際に回ってみると体で分かります。
四社まいり|御朱印を全部集めると記念品がもらえます
四社すべてで御朱印を受けると、参拝の記念品がいただけます。
これがまさに、子どもの言う「攻略」でした。スタンプラリーのような形になっているので、神社に興味がない子どもでも最後まで付き合ってくれます。御朱印帳を持っていく価値は十分にあります。
①下社春宮|「諏訪に来た」と実感した瞬間

私たちは下社春宮からスタートしました。
第一印象は、「どーんと構えている」でした。趣がある、という言い方だと少し軽い気がします。木々が茂る中に、存在感のある建物が静かに立っている。派手さはないのに、近づくと圧を感じるタイプの神社です。
神楽殿の大注連縄
鳥居をくぐって正面に見える建物——これが神楽殿(かぐらでん)です。そこに、写真でよく見るあの太い注連縄(しめなわ)が掛かっています。
「うわ、いわゆる諏訪に来たな」——私がその日いちばん最初に声を上げたのが、この瞬間でした。テレビや雑誌で見ていたものが、目の前に実物としてある。旅の始まりとして、これ以上ない導入だったと思います。

💡 春宮と秋宮の社殿は、同じ図面をもとに、それぞれ別の職人が競って建てたと伝えられています。だから雰囲気が似ているんです。両方回ると「似ているけど違う」が分かって面白いので、ぜひ見比べてみてください。
浮島社と万治の石仏へ
春宮の参拝を終えたあと、川沿いを少し歩きました。途中にあるのが浮島社(うきしましゃ)。川の中州に立つ小さなお社で、どんな洪水でも流されないと伝えられています。ここにもきちんと御柱が立っていて、規模は小さいのに気配があります。
そしてその先に、万治の石仏(まんじのせきぶつ)。丸い胴体に小さな頭が乗った、独特すぎる姿の石仏です。岡本太郎が絶賛したことでも知られています。実物を見ると、確かに「なんだこれは」と言いたくなります。

ここには参拝の作法があります。

- 正面で一礼し、心の中で願い事を唱える
- 「よろずおさめました」と唱えながら、石仏のまわりを時計回りに三周する
- 正面に戻り、「よろずおさめました」と唱えて一礼
私たちもきちんと三周して、よろずおさめてきました。こういう「体を動かす作法」があると、子どもは俄然のってきます。
②下社秋宮|参道を振り返ったときの開放感

次に向かったのが下社秋宮です。春宮とは打って変わって、参道がにぎわっています。お店も並んでいて、賑やかな雰囲気です。
秋宮は少し高い場所に位置しています。そのおかげで、忘れられない光景に出会いました。神社に背を向けて、参道のほうを振り返ったときです。
下っていく参道と、その先に広がる空。視界がぱっと開けて、思わず立ち止まりました。参拝そのものより、この振り返った瞬間のほうが記憶に残っているくらいです。
💡 秋宮に行ったら、参拝したあとに一度振り返ってみてください。ほとんどの人が前だけ見て帰ってしまいますが、後ろに絶景があります。

根入りの杉|迫力が段違いでした

鳥居をくぐり、手水舎で清めて中へ進むと、とんでもなく大きな杉が立っています。根入りの杉(ねいりのすぎ)——樹齢はおよそ800年とされる御神木です。見上げても全体が視界に入りません。幹の太さと、上へ伸びていく圧が本当にすごい。
この杉には言い伝えがあって、丑三つ時になるといびきをかくとされています。名前の「根入り」は「寝入り」から来ているわけです。この話を子どもにすると、確実に食いつきます。
神楽殿と、開けた空間での参拝

秋宮にも、春宮と同じく大注連縄の掛かった神楽殿があります。こちらの注連縄は特に大きく、両脇には青銅製の狛犬が構えています。
その先で参拝したのですが、ここは少し開けた空間で、上から光が入ってきます。木々に囲まれた春宮とはまた違う、空からパワーをもらえそうな感じがありました。
③上社前宮|四社で唯一「本殿」がある場所
諏訪湖を回り込んで、上社側へ。上社前宮です。ここは、四社の中でいちばんひっそりとしています。大鳥居をくぐったあと、坂道と階段を上っていく形になります。にぎやかさはありません。その代わり、静けさがあります。
水眼の清流で清める
参道の脇を、澄んだ水が流れています。水眼(すいが)の清流——古くから神聖な水とされ、参拝者はここで身を清めてきました。
夏だったこともあり、この水が本当に気持ちよかった。手を浸すと、それだけで空気が変わったように感じます。
ここには「本殿」があります

階段を上りきったところに、社殿があります。先に書いたとおり、諏訪大社で本殿を持つのは、この前宮だけです。当時は知らずに参拝していたのですが、他の三社を回ったあとに振り返ると、確かにここだけ形が違いました。
前宮は諏訪信仰の発祥の地とも言われる場所です。四社の中でいちばん地味かもしれませんが、ここを飛ばすと諏訪大社を理解しそこねると思います。
帰り道、町が一望できます

参拝を終えて振り返ると、高台から町並みが見渡せます。秋宮とはまた違う形で、視界が開ける瞬間があります。諏訪大社は「振り返ると景色がいい」神社なのかもしれません。
④上社本宮|本殿がないのに、奥に何かがある
最後は上社本宮。四社の中でもっとも規模が大きく、見どころも多い場所です。
正直に書くと、私たちは正面の参道からではなく、横のあたりから入ってしまったと思います。ただ、あとから調べて分かったのですが、本宮は正面からまっすぐ拝殿へ向かう構造になっていません。順路が折れ曲がっているので、「あれ、正面から入ってないかも」と感じるのはむしろ自然でした。
布橋|屋根のある長い廊下

本宮でいちばん印象に残ったのが、この布橋(ぬのばし)です。屋根の付いた、まっすぐで長い廊下。片側が開けていて、光と影が縞模様になって落ちています。歩いているだけで、少しずつ気持ちが切り替わっていくのが分かる場所でした。
入口御門

布橋の途中にあるのが入口御門(いりぐちごもん)。細かな彫刻が施された立派な門で、ここは足を止めて見上げる価値があります。通り抜けるだけではもったいない造りでした。
拝殿の前の、あの空間

そして参拝です。拝殿の奥に、何かがある感じがしました。建物の向こうに空間が続いていて、そちらに向かって手を合わせている——そんな感覚です。その前に立ったときの空気が、この日いちばん神秘的でした。
あとで知ったのですが、本宮に本殿はありません。御神体は、背後にそびえる守屋山(もりやさん)そのものとされています。
つまり私が「奥に何かある」と感じていたのは、建物ではなく山だったということになります。知らずに感じ取っていたのだとしたら、それはそれで、この神社の本質に触れていたのかもしれません。
四社を回ってみて|印象の違いまとめ
| お宮 | 雰囲気 | 特に印象に残ったもの |
|---|---|---|
| 下社春宮 | 静か・木々に囲まれる | 神楽殿の大注連縄 |
| 下社秋宮 | にぎやか・高台 | 根入りの杉/振り返った参道 |
| 上社前宮 | ひっそり・上り坂 | 水眼の清流/四社唯一の本殿 |
| 上社本宮 | 荘厳・規模が大きい | 布橋/拝殿前の空気 |
四社それぞれ、はっきり性格が違います。「同じ神社を4回まわる」のではなく、4つの別の場所を訪ねる感覚に近い。だからこそ一日で回っても飽きませんでした。
四社まいりの実用情報
①一日で回れます(ただし車が前提)
私たちは朝から出発して、一日で四社を回りきりました。ただし上社と下社は諏訪湖を挟んで反対側にあるため、車がないとかなり厳しいです。
②回る順番に決まりはありません
「この順で回らなければいけない」という決まりはありません。私たちは下社(春宮→秋宮)→上社(前宮→本宮)の順でしたが、逆でも問題ありません。宿泊地や高速のインターから近いほうを起点にするのが現実的だと思います。
③歩きやすい靴で
特に前宮は坂と階段があります。各社とも砂利や石段があるので、スニーカーが安心です。
④御朱印帳を忘れずに
四社まいりの記念品は御朱印を全社で受けることが条件です。せっかく四社を回るなら、持っていったほうが確実に楽しめます。
よくある質問(FAQ)
Q. 子ども連れでも四社まわれますか?
回れます。我が家はむしろ子どもがいちばん張り切っていました。「4つ集める」というルールがゲームとして機能します。御柱を探したり、根入りの杉のいびきの話をしたりすると、飽きずに歩いてくれます。
Q. 一社だけ行くならどこですか?
規模と見どころなら上社本宮です。ただし諏訪大社らしさを一番感じたいなら、下社秋宮もおすすめです。大注連縄と根入りの杉という、分かりやすい見どころがそろっています。
Q. 御柱はいつでも見られますか?
見られます。お祭りの期間でなくても、四社それぞれの社殿の四隅に立っています。建て替えは6年に一度なので、いつ行っても必ずあります。
Q. 万治の石仏まで歩けますか?
春宮から歩いて行ける距離です。川沿いの道を進むので、散歩としても気持ちがいいルートでした。途中に浮島社もあるので、あわせて寄るのがおすすめです。
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まとめ
諏訪大社の四社まいりは、「4つの違う神社を訪ねる旅」でした。
春宮の大注連縄で「諏訪に来た」と実感し、秋宮で振り返った参道の空に驚き、前宮の清流で手を清め、本宮では本殿のない奥に向かって手を合わせる。それぞれの記憶が、別の風景として残っています。
そして何より、子どもが「攻略」だと思って最後まで楽しんでくれたこと。神社めぐりに子どもを付き合わせるのは難しいと思っていましたが、「4つ集める」というルールがあるだけで、旅そのものが変わりました。
お子さん連れで神社をまわりたい方にこそ、諏訪大社の四社まいりはおすすめです。

